介護施設でのAI活用事例3選|現場で実際に使われている場面

「AIを使いたいけど、実際にどんな場面で使えばいいか分からない」

介護施設の管理者・経営者の方から、こういう声をよく聞きます。

情報としてはAIの話が飛び交っているけれど、介護の現場に当てはめたときに何ができるのか、イメージがつかみにくい。それは当然だと思います。

僕は元介護福祉士として11年間現場で働いてきました。現在はAI研修講師として教育関係やケアマネジャー向けの研修を行っています。その中で実際に使われている場面を、3つの事例として紹介します。

事例1:委員会の議事録を30分から5分に短縮

業種・規模: 特別養護老人ホーム(定員50名程度)

課題: 月1回の各種委員会(感染対策・リスクマネジメント等)の議事録作成に、担当者が毎回30〜40分かけていた。他の業務が後ろ倒しになることが慢性化していた。

導入したこと: スマートフォンで会議の音声を録音し、文字起こしツールで書き起こしたテキストをChatGPTに貼り付けて「議事録として整形してください」と依頼する流れを作った。

結果: 議事録の作成時間が平均5〜8分に短縮。担当者の感想は「確認と修正だけなので、ほとんど負担を感じない」とのことでした。

ポイント: AIが議事録を「完成させる」のではなく、「下書きを作る」という役割分担が定着の鍵でした。最後に人間が確認・修正するという前提があることで、スタッフも安心して使えるようになります。

事例2:家族への手紙・お便りの文章作成

業種・規模: グループホーム(定員9名×2ユニット)

課題: 月に1度、入居者の家族へ送る生活状況のお便りを、各ユニットリーダーが担当していた。「文章を書くのが苦手」というスタッフが多く、毎月の作成が精神的な負担になっていた。

導入したこと: スタッフが箇条書きで「今月の様子」を書き出し、それをChatGPTに渡して「家族向けのお便りとして自然な文章にしてください」と指示する方法を試した。

結果: 1通あたりの作成時間が約60分から15分程度に短縮。「書き方が分からなくて手が止まる」という状態がなくなったことが、スタッフには一番大きかったと聞いています。

ポイント: AIを使うからといって文章の温度感が下がるわけではなく、むしろ「書き直す回数が減った」「家族からお便りが読みやすくなったと言われた」という声もありました。個人名・住所などの個人情報は入力しないルールを事前に決めておくことが前提です。

事例3:申し送り・記録の要約

業種・規模: 通所介護(デイサービス)、スタッフ12名

課題: 日々の申し送りと記録の文章がスタッフによってばらつきがあり、読み返したときに何が重要かが分かりにくいという問題があった。

導入したこと: 長文の記録をChatGPTに貼り付けて「重要な点を3行にまとめてください」と依頼する使い方を試した。また逆に、「この内容を申し送り記録として書いてください」と依頼して下書きを作る使い方も導入した。

結果: 申し送り時間が短縮しただけでなく、「記録の書き方が分からない新人スタッフの育成が楽になった」という副次的な効果もありました。新人がAIの出力を参考に記録を書くことで、文章の型が身についていくという流れです。

ポイント: 記録・申し送りは介護現場で最も負担が大きい業務の1つです。ここにAIを当てはめることで、時短だけでなく「標準化」の効果も出やすい領域です。

共通していること

3つの事例に共通しているのは、AIが「判断する」のではなく「下書きを作る」「整理する」役割に徹しているという点です。

完成品をAIが出して、人間がそれをそのまま使う——という形ではなく、人間がAIの出力を確認・修正して完成させる、という流れ。この役割分担が明確であれば、介護の現場でもAIは十分に使えます。

「うちの施設でも使えるか分からない」という方は、まず1つの業務だけ試してみることをおすすめします。相談を受け付けていますので、気軽にご連絡ください。

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