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2025年12月25日、クリスマス当日に、宮崎市介護支援専門員連絡協議会様からご依頼をいただき、ケアマネジャーの皆さんを対象にAI活用研修の講師を務めました。
祝日にもかかわらず約70名が集まってくださった。その事実だけで、介護現場がAIに対してどれほど関心を持っているかが伝わります。
この記事では、研修当日の様子だけでなく、元介護福祉士として11年間現場で働いてきた立場から、「介護職がAIと向き合うとき、何が起きるのか」について書いてみます。
研修前の空気感
会場に入ると、参加者の多くは「ChatGPTって聞いたことはある」という段階でした。
「AIが仕事を奪うかもしれない」という不安と、「使えるなら楽になりたい」という期待が、ちょうど半々ずつ混在しているような雰囲気。
介護の仕事は記録業務の負担が大きく、ケアマネジャーは特にそれが顕著です。訪問記録、支援経過、サービス担当者会議の議事録。
書かなければならない文書は、現場で感じる以上に多い。
「その負担が少しでも減るなら」という期待感は、他の業種への研修よりも明確に感じました。
「これは使える」と変わる瞬間
今回の研修はワークショップ形式で、1グループ6名に1台のPCを用意してもらいました。実際にChatGPTを操作してもらう時間を多めに設けた構成です。
最初はぎこちなかった手の動きが、だんだんと確かめるように、そして少し楽しそうになっていく。そういう変化が、グループのあちこちで起きていました。
「こんな文章も作れるの?」「記録、これで書けるんじゃないか」という声が聞こえてくる中で、印象的だった場面が1つあります。
ある管理職の方がつぶやいたひと言。
「これ、俺いらないじゃないか」
笑いながら言っていたので場は和みましたが、この言葉の奥に、AIへの本質的な問いが詰まっていると思いました。
「俺いらない」は間違いだ、という話
AIが得意なのは「作業」です。定型的な文章を生成する、情報を整理する、パターンを見つける。
こういったことは確かに速く、疲れません。
でも介護の仕事の核心は「判断」にあります。
利用者さんの表情の変化に気づく。家族との間で板挟みになりながら、最善の方向を考える。チームの中で「この人は今、しんどい」と読む。
そういった判断は、AIにはできません。
AIが議事録を書いてくれるようになれば、その分の時間でケアマネジャーは「ケアマネジャーにしかできない仕事」に集中できる。「俺いらない」どころか、むしろ本来の仕事に戻れる、という話です。
研修でこの話をすると、多くの方が「なるほど、そういう使い方か」と腑に落ちた様子でした。
現場で起きたこと(トラブルも含めて)
当日はWordが開かないトラブルや、ChatGPTの無料プランで画像読み込みの上限に達するという場面もありました。
こういうトラブルは、実はとても重要だと思っています。
「AI研修をやった」で終わらず、「現場でAIを使い始めたときに何が起きるか」を体験してもらう機会になるからです。
ツールが思い通りに動かないこと、スマホとPCで見え方が違うこと、フリープランと有料プランの違い。こういった「現実の壁」を研修の場で一度経験しておくと、実際に職場で使い始めたときの挫折が減ります。
運営スタッフの皆さんのサポートが手厚く、会場全体でその壁を乗り越えられたことも、研修の大きな収穫でした。
介護施設でAI研修を検討している方へ
今回の経験をもとに、介護現場でのAI研修を検討している施設・法人の方に向けて、実感したポイントをお伝えします。
「触れる」時間を作ること
聞くだけの研修ではAIは広まりません。実際に手を動かして、自分の業務に使えるかどうかを体感してもらうことが最初の一歩です。スマホでも操作できるので、PCが1台あれば研修はできます。
参加者の「不安」を最初に受け止めること
「AIに仕事を奪われるのでは」という不安は、介護職に特有のものではありませんが、特に年齢層が高い職場では丁寧に扱う必要があります。その不安を否定するのではなく、「AIが得意なことと、人間にしかできないことは違う」という整理を最初にしておくと、その後の研修の吸収率が変わります。
小さく始めること
全社一斉導入より、「まず議事録だけ試してみる」というスモールスタートが現場には合っています。1つ成功体験ができれば、そこから広がります。
当社でも、介護・福祉施設向けのAI活用研修を承っています。規模・目的に合わせて内容をカスタマイズします。
まとめ
約70名のケアマネジャーの皆さんと過ごしたクリスマスは、僕にとっても多くの気づきがありました。
介護現場はAIへの関心が高い。でも、情報が届いていない。使い方を知らないから、不安が先に立つ。
そのギャップを埋めることが、現場経験を持つ自分にできることだと改めて感じた1日でした。
介護や福祉の分野でAI活用を検討されている方、研修に興味がある方は、気軽にご連絡ください。