「DXを推進してほしい」
ここ数年、こんな言葉を上司から言われた方は少なくないと思います。
ただ、いざ「DX」に取り組もうとしても、具体的に何をすればいいのか分からない。まずは知識をつけようと調べてみると、「DX検定」「G検定」という2つの資格が目に入ってくるはずです。
私自身、DXやAIの知識を体系的に身につけたいと考えていました。加えて、資格を持つことで対外的な権威性にもなる。そう思い、2026年2月にDX検定、3月にG検定を受験しました。
結果から言うと、DX検定はエキスパート(701点)、G検定は合格。
この記事では、両方を受けた立場から「そもそも何が違うのか」「実際どれくらい難しいのか」「どうやって勉強したのか」を具体的にお伝えします。これから受験を検討している方の判断材料になれば幸いです。
DX検定とG検定、何が違うの?
まず、この2つは主催団体も目的も異なる別の資格です。混同されがちなので、整理しておきます。
DX検定
日本イノベーション融合学会が主催する検定で、ビジネストレンドとIT技術の両面から幅広い知識を問われます。
最大の特徴はスコア制で、点数に応じてレベルが分かれます。
| スコア | 認定レベル |
|---|---|
| 800点以上 | DXプロフェッショナル |
| 700点以上 | DXエキスパート |
| 600点以上 | DXスタンダード |
| 600点未満 | 認定なし |
合否ではなく、自分の実力がスコアとして可視化されるのが特徴です。「700点を超えたから何点伸びた」という形で成長を定量的に把握できます。
出題範囲はかなり広く、先端IT(AI、IoT、ブロックチェーンなど)からビジネストレンド(DX事例、経営戦略、法規制)まで横断的にカバーしています。問題数は150問、試験時間は90分。1問あたり36秒という計算です。
受験費用:6,600円(税込)
G検定
一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する検定で、AI・機械学習・ディープラーニングの知識に特化しています。
こちらは合否制。合格か不合格かのどちらかです。
出題範囲はAI領域に絞られていて、ニューラルネットワークの仕組みや機械学習の各手法、AIの社会実装、法律・倫理面まで問われます。問題数は約220問、試験時間は120分。オンライン試験で、手元の資料や検索を使いながら受験できる点が特徴的です。
受験費用:13,200円(税込)※学生は5,500円
比較してみると
| 項目 | DX検定 | G検定 |
|---|---|---|
| 主催 | 日本イノベーション融合学会 | JDLA |
| テーマ | DX全般(IT+ビジネス) | AI・ディープラーニング |
| 評価方式 | スコア制(レベル認定) | 合否制 |
| 受験形式 | オンライン(自宅) | オンライン(自宅) |
| 問題数 | 150問/90分 | 約220問/120分 |
| 受験費用 | 6,600円 | 13,200円 |
| 想定受験者 | DX推進に関わるビジネスパーソン全般 | AIの基礎知識を身につけたい人 |
ひと言でまとめると、DX検定は「広く浅く」、G検定は「AI分野に深く」という違いがあります。
DX検定を受けてみた — エキスパート取得の実体験
勉強方法
DX検定には公式の学習ツール(DX検定公式テキスト・模擬試験)が用意されています。私はそれをベースに学習を進めました。
活用したのは以下の3つです。
- 公式の模擬試験:出題傾向をつかむのに最も有効。繰り返し解いて正答率を上げていくのが基本。
- NotebookLM:分からない用語や概念をNotebookLMに入れて動画解説を生成。テキストだけでは頭に入りにくい内容も、音声と映像で理解が定着しやすくなります。
- ニュースのインプット:DX検定はビジネストレンドも出題範囲に入るため、ITニュースやDX関連の事例を日頃から読んでおくことが有効です。
勉強期間は約3週間。業務の合間に毎日30分〜1時間程度確保しました。
試験当日の印象
受験したのは2026年2月15日。オンラインでの受験です。
率直な感想として、問題数が多い。150問を90分で解くため、1問にかけられるのは36秒。ゆっくり考える余裕はほとんどなく、瞬時に判断して回答していく必要があります。
出題範囲が広いぶん、「聞いたことはあるけど正確に答えられるか怪しい」という問題が次々に出てきます。AI・IoT・ブロックチェーンの技術的な問いだけでなく、特定企業のDX事例や、デジタル関連の法律・規制に関する問いも出てきました。思っていたより難しかったというのが正直なところです。
結果とレベル認定
スコアは701点で、認定レベルはDXエキスパート。
DX検定のレベル区分は以下の通りです。
- 800点以上:DXプロフェッショナル
- 700点以上:DXエキスパート ← 私の結果
- 600点以上:DXスタンダード
700点がエキスパートのボーダーなので、ギリギリと言えばギリギリです。ただ、最上位1つ手前のレベルを取れたことには素直に満足しています。プロフェッショナルを狙うなら、あと100点。次に受けるときの目標ができました。
資格の活用方法
DX検定エキスパートの資格は、日本イノベーション融合学会のウェブサイトで認定者として名前が掲載されます。名刺やプロフィールへの記載も可能で、DX推進担当として社内外に信頼性を示す材料になります。
特にDXコンサルや支援業務に携わる方にとっては、「なんとなくDXに詳しい人」ではなく「スコアで証明できる人」という示し方ができるのは実際使えます。
G検定を受けてみた — 合格までの道のり
勉強方法
G検定は市販の対策本を1冊購入し、それを読み込む形で勉強しました。
よく使われる対策本は「徹底攻略 ディープラーニングG検定 問題集」シリーズです。過去問と解説がセットになっていて、体系的に学べます。
活用したのは以下の3つです。
- 対策本の通読と問題演習:まず1周読み、その後問題を繰り返し解く。正答率が低い分野を重点的に復習する形で進めました。
- 公式シラバスの確認:JDLA公式のシラバスを見て、出題範囲を把握したうえで学習の優先度をつけました。
- コミュニティの活用:G検定はTwitter(X)やオープンチャットに受験者コミュニティがあり、試験直前の情報収集に役立ちました。
勉強期間は約2週間。短期集中の詰め込みです。DX検定の受験から間もないタイミングだったこともあり、IT・AI分野の基礎がある程度残っている状態で臨めたのは有利だったかもしれません。
G検定の特殊ルール:ネット検索OK
G検定は「自宅受験かつ検索可能」という特殊な試験形式です。問題を見ながらウェブ検索して答えを探すことが、ルール上認められています。
ただし試験時間は120分で約220問。1問にかけられるのは約32秒です。実際には検索に時間をかける余裕はほとんどなく、基礎知識がある程度頭に入っていないと間に合いません。「検索できるから楽勝」という認識で臨むと足をすくわれます。
試験当日の印象
受験日は2026年3月6日。DX検定から約3週間後です。
DX検定が「広く浅く」だったのに対して、G検定はAI・ディープラーニングの領域をしっかり掘り下げてくる印象でした。
正直に言うと、G検定の方が難しく感じました。DX検定は「用語を知っていれば解ける」問題が多いのに対して、G検定は概念の理解度を問われる設問が多く、表面的な暗記だけでは太刀打ちできない場面がありました。特に数式が絡む機械学習の理論問題は、丸暗記では対応しきれません。
結果
合格。
2週間の詰め込みで合格できたとはいえ、余裕があったわけではありません。もう少し勉強期間を確保しておけばよかったと感じています。初めて受験する方は、1か月程度の準備期間を見ておくことをおすすめします。
資格の活用方法
G検定合格者はJDLAのウェブサイトに認定者として掲載されます。また、合格者限定のコミュニティ(Slack)への参加資格も得られます。
AI活用の文脈でクライアントや上司に説明する際、「AIプロジェクトに関わる基礎知識はJDLA認定で担保されている」という言い方ができるのは、対外的に一定の信頼感を与えます。
どちらを受けるべき?目的別の選び方
両方受けた立場から、目的別に整理します。
DX検定が向いている人
DXの全体像を広く把握したい方。「AIだけでなく、IoTやブロックチェーン、ビジネストレンドも含めてDXを理解したい」という場合は、DX検定が適しています。
DX推進担当になったばかりの方、経営層への提案に説得力を持たせたい方、社内のDX旗振り役を担う方にも向いています。ITの専門知識がなくても取り組みやすい内容なので、文系ビジネスパーソンのファーストステップとしても選びやすいです。
G検定が向いている人
AIやディープラーニングの知識を重点的に身につけたい方。AIプロジェクトに関わる予定がある、AI活用の提案ができるようになりたいという方には、G検定の方が実践的です。
エンジニアでなくても、AIの仕組みを「説明できるレベル」で理解したい方に最適です。AI導入の意思決定に関わるビジネスパーソンや、AIを活用したサービス企画をしたい方にも有効です。
両方受けるメリット
私自身、両方受けてみて感じたのは、知識の「幅」と「深さ」が補い合えるということです。
DX検定で得た広い視野があるからこそ、G検定で学ぶAIの知識が「DX全体のどこに位置するのか」を把握できる。逆に、G検定でAIを深く学んだことで、DX検定の内容がより立体的に理解できるようになりました。
費用は合わせて約2.3万円。資格としての投資対効果を考えると、DX・AIの専門家として名刺に書けるレベルの知識と信頼性が得られるなら、決して高くないと感じています。
まとめ
DX検定はDX全般の幅広い知識を問うスコア制の検定、G検定はAI・ディープラーニングに特化した合否制の検定です。目的が異なるので、自分が何を学びたいかで選ぶのが一番です。
どちらも難易度はそれなりにあります。特にG検定は2週間の勉強では余裕がなかったので、1か月程度の準備期間を見ておくことをおすすめします。
両方受けたい場合は、DX検定 → G検定の順番が学習の流れとして自然です。広い文脈でDXを理解したあとにAIを深掘りすると、知識が体系的につながりやすくなります。
「DXを推進しなきゃいけないけど、何から手をつければ」と迷っている方は、まずどちらか1つ受けてみてください。勉強する過程で、DXやAIの全体像が自然と見えてくるはずです。